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高田文夫・たかだふみお 湯煙夜話

 昔から日本人くらいお風呂の好きな人種はないようで……「湯けむり」ときいて、まず連想するのは「殺人事件」。この節、安手の2時間サスペンスドラマは、何かってぇと温泉で殺人が起こる。おちおち肩までつかって100まで数えていられません。その点、昔のテレビドラマは銭湯を舞台に「時間ですよ」。森光子のおカミさんに、樹木希林の「ジュリ〜ッ」が忘れられませんな。必ずサービスカットで女湯が写り、おっぱいがポロリ、このシーンだけを目当てに、水曜日だけは早く家へ帰ったものでした(たしか 水曜日 放送でしたよネ)。
 「笑点」を見るとその昔は解答者だった円楽師匠が、いつも決まってこのフレーズを使っておりました。「湯あがりの顔 三遊亭円楽です」。 今では湯あたりしちゃったような顔をしておりますが、若い頃はあれでなかなか二枚目だったのです。ヒット曲では、ドリフターズが「いい湯だな」。 ♪ババンバ バン バン バン……という例のあれです。今ではこれも、 ♪ヤマンバ バン バン バン ときこえます。時代でしょうか。

高田文夫・たかだふみお

 話はまったく変わりますが 銭湯のことを公衆浴場と言いました。私、小さい頃、この言葉、ズーとあそこへ行くと皆な裸になって興奮するから「公衆欲情」と書くもんだとばかり思っておりました。あんまり公衆の面前で欲情をもよおすのもどうかと思ったのですが……。そうそう、今で言うラブホテル、あれも何故か、昔は「温泉マーク」とか言いましたよネ。中には「逆さクラゲ」なんてトンチをきかせて言う奴も居りました。落語の方には「湯屋番」という名作がありますな。道楽者の若旦那が勘当されてお湯屋へ奉公するという爆笑篇です。番台に座ることだけを夢見る男、まさに番台は男のロマンです。私だってあそこに一度座れたらバンザイをしちゃいます。これを我々は“番台三唱”と言います。一寸くだらなかったですネ。
 「お湯」というキーワードで湯につかりながら考えてたらこんな風になってしまいました。湯舟につかってグルリ見わたせば……タイルははがれて来たし、蛇口のしまりも悪い……そろそろ、我が家のお風呂も直そうかな。これを昔から日本のお風呂界では「ひとの風呂みて、我が風呂直せ」と言っております。こんな所でよろしいでしょうか。ヨーシッ銭湯開始!

文/高田文夫
イラスト/花岡道子

高田文夫(放送作家・タレント)
1948年東京都生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒。「オールナイトニッポン」の構成をはじめ「オレたちひょうきん族」「気分はパラダイス」「らくごin六本木」など、数多くのバラエティ番組を手がける。ビートたけしの座付作者としても著名。また83年に立川談志の立川流に入門し立川藤志楼を名のり、88年真打ちに昇進。99年、お笑い専門誌「笑芸人」(季刊)の編集長に就任。>






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