|
今ではもちろん、わたしはエアコン付の部屋に住み、上質なバスローブも入浴剤も買うことが出来る。
けれど、1年に2回くらい「夕べもお風呂に入ったのに、また今日も入らなきゃならないんだ」とつくづく不思議に、そして面倒くさくなる時がある。
そしてそう思うのは自分が精神的にひどく追い詰められている時だと知っている。いわば軽い鬱状態ってやつ。
最近のお嬢さん達は、それをほぼ毎日感じているのかも、と思うとなんとなく合点がいく。外に出かける気はあるのだから、ホンチャンの鬱ではあるまい。けれど、お風呂に入る、という自分をホッとさせる事には興味を持てない。そこには自分自身に対する絶望感を微かに感じてしまう。
お風呂はわたしにとって手っ取り早い精神鑑定の場である。気分よく入浴できれば落ち着いているし、めんどうくさいと思うとそれは、心がどこかでSOSを発信している証拠なのだ。
汚ギャルと呼ばれる少女達が喜んでお風呂に入りたくなる日が来るようにと、親でもないのに、わたしは実は願ってやまない。
文/飯星景子
イラスト/花岡道子
|