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湯煙コラム

Vol. 76 六角精児

セリフを暗記しなくては!=風呂に入ろう!

六角精児(ろっかく せいじ)

俳優。ミュージシャン。
1962年6月24日生。兵庫県出身。神奈川県育ち。劇団「善人会議(現・扉座)」の創立メンバーとして数々の劇団公演に参加する一方、外部公演にも多数出演。近年は、ドラマ、映画、エッセイの執筆など活動のフィールドを広げる。テレビドラマ「相棒」シリーズで人気を博し、映画「鑑識・米沢守の事件簿」で映画初主演。特技はフォークギターで、自らボーカル・ギターを務める「六角精児バンド」でライブ活動も行う。2012年12月には週刊現代に連載中のエッセイをまとめた「三角でもなく四角でもなく六角精児」が単行本化された。
 
僕にとって風呂は、安らぎの場である以上に特別な空間といえます。なぜなら、ドラマや映画などの台詞(セリフ)のほとんどを風呂の中で覚えるからです。よって早く出かけなくてはならない場合を除いては、ほぼ朝風呂が定番。しっかり湯船にお湯をためて入浴し、気分をシャキッとさせてから、台本に向かいます。いつも1時間ぐらいは入っていますね。極端な話、「台詞を確認なくちゃ!よし、風呂に入ろう!」みたいなことになっていますよ。

かわいいアヒルちゃんがお気に入りのバスグッズ…などと言えれば良いのですが、シャンプーも奥さんと同じのを使っているくらいで、無頓着ですね。ただ湯船で台本を読むので、途中でのぼせないよう基本的には年間通じて39℃程度のお湯で半身浴にしています。おかげで、体で季節の移り変わり目を感じますね。最近は温かくなってきたので、冬に比べて汗が出るまでの時間が短くなっています。
小さいころから風呂に親しんでいたかというとそうでもなくて、かつて実家では、夏をのぞいて風呂は2日に一度のペースでした。家の中のしきたりは女が決めることですから、きっとわが家でも母親が家計を考えてそうしたのではないでしょうか。風呂に入らない日は洗面器にお湯をためて、タオルを絞って体をふくだけ。でもまあ同級生に「君ん家は毎日フロに入るの?」などと聞きませんから(笑)、わりと当たり前にとらえていましたね。

楽しみだったのは、たぶん4〜5歳ぐらいの時分、たまに近所の親戚の家にもらいに行く風呂でした。おばちゃんが風呂上りに桃を用意していてくれて、これがまたすごく美味かった記憶がありますね。今考えると、風呂より桃につられていたのかもしれません。
東京に移ってきて、劇団とバイトに明け暮れていた20歳過ぎごろは、しばらく風呂なしアパートに住んでいたので、銭湯通いが日課でした。いつも行く風呂屋が休みの日にはちょっと離れたところへ行くのですが、そこの湯が妙に熱くて入れなかったのを覚えています。「なら、水を入れたらいいじゃないか」って思うでしょ。ところがね、温度計がレッドゾーンを振り切っているにもかかわらず、常連のお年寄りが水を入れるのを許してくれない。で、仕方ないから僕ら若い連中はスペイン広場の噴水の周りに集まるローマ人よろしく、浴槽に腰かけたまま膝から下だけつけていました。熱い湯は、東京の下町文化の一つなのかも知れませんね。
たまに「日ごろから実践している健康法は?」という質問を受けることがありますが、風呂以外では特に思いつかないですね。あえて言うなら“できるだけ歩く”ことでしょうか。暇を見つけては、小一時間ウォーキングをするように心がけています。遠くまで歩けないときには、家の近くにある少し大きめの公園へ行き、園内を何周もまわったりもします。おかげで気にしていたすい臓の数値も多少改善しましたから、無理なく続ける運動として歩くのはおススメです。

ロケで地方に行ったときでも、空いた時間に歩いて街にどんなものがあるのか見てまわるのが楽しいですし、散歩するのが好きなのでしょうね。ただあまりにも田舎で、住民は誰もが知り合いのような地域で民家の間を散策して、不審人物扱いされてしまったこともありますので、充分気をつけて散策したいと思います。

文/六角精児(ろっかく せいじ)


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