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湯煙コラム

Vol. 113 堀口茉純

江戸っ子の銭湯は“混浴”だった!?

堀口茉純(ほりぐち ますみ)

1983年東京生まれ。明治大学文学部で演劇や歌舞伎、日本文化の研究を行う傍ら、文学座付属演劇研究所に所属。2008年、江戸文化歴史検定一級を最年少で取得。「江戸に詳しすぎるアイドルなどど呼ばれている=お江戸ルほーりー」として注目を集め、女優として舞台やドラマだけでなく、バライティ―番組にも出演。近年では浮世絵を使った江戸の史跡ガイドを、「大人の休日倶楽部」、「ANAスカイホリデー」、はとバスツアーなどで開催し、独自の視点でフカヨミする歴史考察が人気を集めている。主な著書に『TOKUGAWA15〜徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本〜』(草思社)、『EDO-100 フカヨミ!広重「名所江戸百景」』(小学館)など。

公式サイト http://hoollii.com/
 
私の生まれた足立区は都内でも銭湯が多く残っている下町で、子どもの頃から生活の中に銭湯がありました。湯船につかることで、生き返るというか、さっぱりして新しい自分になれるような気がします。

お隣に湯がかからないようにといった周囲への気配りは、銭湯の中で自然に学びました。銭湯には独自のコミュニティがあって、そこでしか会わない人もいます。それでも顔を合わせれば話をしたり、時に叱られたり。そういう大人と子どもが自然にコミュニケーションを取れる場所であるということが銭湯の魅力だと思っています。
私は江戸に詳しすぎるタレント「お江戸ル(おえどる)」として、江戸時代の文化や歴史にまつわる講座を開催していて、江戸のお風呂事情は、もう挙げればきりがないくらい興味深いことでいっぱいです。当時は内湯がない家がほとんどなので、お風呂といえば銭湯でした。銭湯の軒下に‘弓矢’が描かれた看板がぶら下がっていたのですが、これは江戸っ子特有のダジャレで、「湯を入る」に「弓を射る」をかけているんですね。

特徴的なのは、混浴だったことです。入口こそ別ですが、脱衣所は丸見え。あとは浴槽に申し訳程度の仕切りが付いているという所が多かった。水と薪を大量に使うことは贅沢なことだったので、浴槽を別々にするのは非効率だと考えられていたようです。それでも一応気を使ったのか、朝は働きに出かける男性、昼頃になると女性、その後で仕事を終えた男性が子どもと連れ立って・・・といった感じで、利用する時間帯をわけていたようです。

それなのに銭湯の2階には男性しか入れないお座敷がって、そこには男性が女性のお風呂を覗けるように、のぞき穴があったんですよ!日本人の裸に対する倫理観が今とはかなり違っていたことが分かりますね。
子どもの頃から本が好きで、小学4年生のときに司馬遼太郎に出合いました。沖田総司に淡い恋心を抱き、歴史全般に夢中になったんです。
でもまわりはアイドルが好きで、歴史にはまったく興味がありません。だから、さもアイドルグループかのように「新選組って知っている?」と友達をだまして(笑)、歴史を好きになってもらうようにしていました。
思えば小学校の頃からやっていることは同じなんです。私が言ったことで喜んでもらったり、楽しんでもらったりすることが、自分は本当に嬉しいんだってそこで実感できたのがよかったかも知れません。その原体験が、今のお仕事につながっているのだと思います。
日本にはお国柄というものがあって、各地の素晴らしいところをその土地に生まれ育った方がいろいろな形で伝えています。でも東京はむしろ、自分の土地の魅力を伝える機会が地方よりも少ない。そんな中で、東京生まれである私が、東京の良さを発信することで説得力を持てたらいいなと思っています。

「クール・ジャパン」と海外の方から興味を持っていただける“日本らしさ”の多くは、江戸時代に生まれ、基礎が固まっています。和食、浮世絵、芸者など、これが日本らしいという象徴的な答えは江戸時代にあるからです。これから東京オリンピックも開催されますし、江戸の良さを東京人の一人としてもっと伝えていきたいですね。

話/堀口茉純(ほりぐち ますみ)

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