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湯煙コラム

Vol. 65 宍戸開

風呂愛にあふれています!できました、映画『テルマエ・ロマエ』

宍戸開(ししど かい)

1966年9月4日、東京にて俳優宍戸錠氏の長男として生まれる。俳優。玉川大学文学部演劇科在学中、NHKの大河ドラマ『武田信玄』でデビュー。『マイ・フェニックス』で第13回日本アカデミー賞新人賞受賞。ほか代表作に、『書かれた顔』『天守物語』『旅の途中で〜FARDA〜』『アイ・ラヴ・ピース』『あずみ2』などがある。またドキュメンタリー番組などで海外ロケも多く、「五影開」名で、写真家としても活躍中。
2012年4月28日(土)公開の映画『テルマエ・ロマエ』に、ハドリアヌス帝の側近・アントニヌス役で出演。

映画『テルマエ・ロマエ』公式サイト
宍戸開公式ページ「KAI SHISHIDO's blog 〜悠々よして急げ!〜」
 
僕はかなりの風呂好きを自認しています。特に、ゆったり過ごせる銭湯が大好き。オフはもちろん、仕事がある日でも3〜4時間時間が取れるのであれば、必ずと言っていいほど行きつけのスーパー銭湯に通っています。サウナでじっくり汗を流した後は、水風呂ですっきり。仕上げに広い大浴場で手足を伸ばす瞬間は、「あー、日本人に生まれて良かった!」と心から思います。

地方ロケでもホテルにチェックインしたら、まずフロントで聞くのは銭湯の場所。そこが都心であれば24時間営業の大浴場もありますし、少なくとも銭湯はあるので、一日の仕事がはけたら、たとえ真夜中になってもひとっ風呂浴びに出かけます。
ただ、海外では事情が大きく変わります。僕は外国でのロケも多いのですが、以前ヒマラヤを訪れたときには、1ヶ月間風呂なし生活を経験しました。現実問題として現地では入浴できない環境なのです。夜は凍えるほど寒いのですが、昼はうだるほど熱く、汗をたくさんかきますが、風呂がないのでさっと体を拭く程度しかできませんでした。そんな状態だったので、下山してカトマンズのホテルでシャワーを浴びたとき、体を流すと泥水のようになっていましたよ(笑)。

別のロケでイタリアを訪れたときには、現地の温泉「テルメ」に入りました。しかしご存じのように、海外の温泉というのは、水着着用です。これでは全身丸洗いをするわけにもいかず、水着一枚でも身につけているからか、温泉で感じる独特の開放感も半減してしまいます。

そう考えると、日本のお風呂は本当に最高ですね。なぜ風呂は…いや、「日本の風呂」はこんなに気持ちいいのでしょうね。僕も銭湯が大好きですが、女性のみなさんは、バスルームでアロマ、半身浴などこだわりがあります。たんに体を洗ったり、温まるだけでなく、その時間をどう楽しむかすごく考えている。これはまさに国をあげた「風呂愛」ですよ。
こうした現代の日本人と同じく、風呂を深く愛していた古代ローマ人たちの映画『テルマエ・ロマエ』に出演したのも、まさに何かの縁。とはいえ、その撮影はなかなかハードなものでした。実は、イタリアロケの出発前日が忘れもしない2011年3月11日、つまり東日本大震災の日でした。すでに現地入りしているスタッフも多く、中止もできないため、我々キャストは余震が続く中、東京から新幹線に乗り、そこからさらに関西空港へと移動しイタリア入りしました。誰もが心の中では日本のことが気になりながらも、一所懸命撮影に臨みました。

ローマの撮影所のチネチッタは午後5時閉場との決まりがあり、それ以降になると別の予算がかかってしまいます。なので、その時間ぴったりにロケは終わり、必然的に夕食はいつもみんな一緒でした。そんなときにもキャスト全員、場を盛り上げようと努めていましたね。当時はタクシーに乗っても、ホテルでも、現地の人から「日本は大丈夫か」「日本人を心配している」と心遣いを受け、本当にありがたかったです。こうした特殊な環境で過ごしたからか、キャストもスタッフもかたい結束が生まれ、素晴らしい作品に仕上がりました。

みなさん、そんな苦労の果てに完成した映画『テルマエ・ロマエ』を観に、ご家族やお友達と劇場へ足を運んでください。バリバリのコメディ映画ですが、僕たちは大真面目に演じていますから、絶対に笑わないでくださいね。…などというのは冗談で、絶対にたくさん笑わずにはいられないくらい、楽しい映画です。笑いすぎてフヤけないように(笑)。

文/宍戸開(ししど かい)


映画テルマエ・ロマエ

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